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2011年12月8日木曜日

幸せは歩いて来ない

久留米に通うと、治療の前後に近辺のホテルに泊まるため、時間が沢山できる。普段見ないTVも結構見ることになる。その中で、NHKの100分で名著を読むという番組があり、アランの「幸福論」を取り上げていたのを見たが、結構面白くてためになった。NHKを辞めたはずのアナウンサーが司会だったのにも少々びっくり。

アランの本は読んだことがない。哲学書は苦手意識があったのだが、何せ読まなくても読んだ気にさせる安易なTV番組なので、簡単なエッセンスだけをぼんやりした記憶で辿ると、

・幸せになるのは、市民の義務である。不幸は伝播するので、あなたが不幸であることは周りも社会も不幸にする。
・どんなに過酷な状況でも、小さな幸せを積極的に見つけ出し、幸せと思えれば、幸せになれる。過酷な状況そのものを変えることは出来ないから、心の持ちようで、不幸にもなり、幸福にもなる。
・幸福だから笑うのではなく、笑うから、幸福になるのだ。
・幸せは向こうから歩いて来ない。(星野哲郎はアランの愛読者だったみたい。)

ということらしい。ポジテイブ・シンキングというより、生き方の哲学みたいなものだろうか。市民の義務とまで、断言するところがすごい。

私の母は、過去20年口癖で毎日私は不幸だと言い続けてきたが、確かにそれが周囲をどれだけ不幸な気分にしたことか。悪い見本が身近にあるので、結構納得のいく番組だった。ぼくも癌だから、不幸だと考えても、病気や事態が改善されるわけでもないし、不幸だと思い続けて闘病生活をするのと、幸せだと思いながら死ぬのがどちらが良いかと言えば、当然後者だろうから、心を切り替えて、毎日を幸せ探しで生きて行こうと思う(ちょっとアランの趣旨と違うか)。家族が不幸な気持ちになると、それはまた患者をも不幸な気分にするから、悪循環になり、結局自分にも跳ね返る。

あべるっちさんの旦那さんなんか、まさに実践されているのかも。

という訳で、癌になったけれど、幸福だなと思えることを探してみた。結構無理やりだけれど。

・自宅療養で、暇が出来、本を沢山読めるようになった。
・短い人生でも、内容次第かなと思えるようになった。
・一人でさびしい老後の不安がないのは、ラッキーかも。
・周囲の人の親切が身にしみる(席を譲ってもらうと嬉しい)。
・末期癌でも、まだまだ久留米まで行ける体力もあるし、多少の見物も出来る。
・良い友人がいた。

などなど。

5 件のコメント:

  1. まさぞう様

    幸せになるのは市民の義務である、というのはすごいですね。 びっくりしましたが、そう言われると何だかおかしくなってきました。。おもしろい言葉を教えていただき、ありがとうございました。

    こねこ

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  2. まさぞう様

    はじめてコメント致します。伴侶がやはり末期の前立腺がんだと分かり、あちこち拝見しているうちにこちらに来ました。まさぞうさんの、ご自分の状況やお気持ちの的確な表現にひきつけられ、いつも拝読しております。

    お辛い様子の時には慰めの言葉が見つからず、読み逃げになってしまっていて申し訳ありませんが、何度も読み返しています。

    今回は一般論で、しかも私にも大変ためになる内容でしたのでこの機会にお礼のコメントをさせていただきます。

    もう書き込む事は無いかも知れませんがこれからもブログ、読ませて頂きます。どうかこれからも体調にお気をつけてお過ごしください。少しでも病状が回復なさるようお祈り申し上げます。

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  3. Yukaさま 旦那さんも同病とのこと、ご家族の大変さを考えると、何も申しあげられませんが、家族が明るくしてくれるだけで、患者本人には大変な救いとなりますので、絶望せず、お幸せにお暮らし下さい。

    患者本人は、頑張れと言われたり(これ以上は無理でしょう)、早く楽になってくださいと言われる(死ねってことか?)のが一番辛いので、そういう心無い知人や遠い親戚がいたら、家族がブロックするのが良いと思います。

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  4. 痛い痛いと言って飲み始めたオキノーム錠、さほど痛みから解放されなかった。痛い原因は化学療法とゾメタの間隔を前回2週間延ばしたのが原因だったようだ、治療したらいつもの副作用はあるけど、痛みから解放された、その後極度の貧血で輸血3パックのため5日ほど入院したのを機会にオキノーム錠はやめた。やはり医療用麻薬には悪い先入観があり、やめたかったようです。主人の父は82歳肺がんで亡くなっていて入院中の医療用モルヒネで意識がもうろうとしていた姿を解ったいるせいだと思う。2週間間隔を延ばしたのは、娘の結婚式に出席のため日本の北に住んでいる私たち家族は最後の家族旅行のつもりで南の端っこまで行って来ました。さすが娘も海外は何かあったら大変と思ったようです。
    痛みもあり絶不調だったけど、行けて良かったと言っています。

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  5. あべるっちさん

    お嬢さんのご結婚おめでとうございます。飛行機大変でしたね。私は数年前までは仕事で飛び回ってましたが、病気になり、海外旅行は一切止めました。やはり出入国、海外でのフライトの確認やホテルでのチェックインなど、ストレスがすごいです。ストレスは病気にさわりますので。

    化学療法が効いているようで、良かったですね。副作用はあっても、普通に生きられて、思い出に残るようなことが沢山できれば、多少の我慢はする価値があるのかもしれません。

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